
通信インフラ業界で20年近くキャリアを積んだ後、50代で介護の世界へ転身した西村彩子さん。家族の介護をきっかけに一念発起し、異業種からのスタートでありながら、株式会社樹に入社してその支援スタイルに深く共鳴しています。「やってあげる介護」ではなく「できることを引き出す支援」を大切にする樹の現場で、西村さんが感じた変化や手ごたえを語っていただきました。
20年越しの転身に踏み切らせた、家族との介護経験
――これまでのご経歴と、樹への入社のきっかけを教えてください。
通信インフラの会社で20年近く働いていたのですが、その間に家族が介護を必要とするようになりました。自分自身がこの業界に携わることで家族の支えになれればという思いで、介護の世界へ踏み出しました。
最初はサービス付き高齢者向け住宅でアルバイトとして3か月ほど経験を積み、次に障害を持つ方が利用されるデイサービスで3か月働きました。そのなかで、自分には高齢者の方と関わることが向いていると感じ、就職活動をするなかで樹と出会いました。
――他の会社とも比較されたと思いますが、樹への入社を決めた理由は何でしたか?
一番大きかったのは「無理なく働ける現場」かどうかという点です。最初に経験したサービス付き高齢者向け住宅では、1日中入浴介助を5件、おむつ交換を6件と、30分ごとに次々こなしていく現場でした。1日働いたら3日休まないと体力が回復しないほどハードで、年齢のことも考え、もう少し自分に合った環境を探していました。
樹の面接で「スタッフの働き方や体調面を重視しながら働けるように配慮している」とお伝えいただいたとき、安心感を覚えました。その言葉が決め手になり、ここで頑張ってみようと思いました。
「全部やってあげる」ではなく、「できる部分を引き出す」という視点

――利用者様との関わりで、最も大切にしていることを教えてください。
その方が抱えていらっしゃる病気などの情報は当然大切ですが、それだけに囚われすぎず、まず「その方を知る」ということを一番に意識しています。どのような性格の方なのか、1日の過ごし方で何を重視されているのか。まずはしっかり関わって、どう接すれば喜んでいただけるかを自分に置き換えながら考えつつ対応することを大切にしています。
また、相手を知るだけでなく、「自分自身も知っていただく」ことも意識しています。私は職場の近所に住んでいるので、「このあたりにこんなお店がありますよ」といった地元の話題を自然に織り交ぜながら、その方がご興味を持ちそうなことをお話しします。そして「買い物に行ったら〇〇が美味しかったんですよ」などと自分が感じたことも加えてお伝えして、少しずつ相手の気持ちをほぐすイメージで接しています。
――「できない」が「できる」に変わったと感じた、印象的なエピソードを教えてください。
例えば、片手が不自由なため上着のファスナーを上げるのが難しい方がいらっしゃいます。全部手伝ってしまうと「できた」体験にはつながりません。そこで、一番難しいファスナーの端を合わせるところまでお手伝いして、後はご自身で引き上げていただくようにしました。そうすることで「全部できないと思っていたけれど、こういう形でできる部分があるんだ」と気づいていただけたんです。
もう1つは、目が不自由な利用者様が「お料理をしたい」とおっしゃったときのことです。難しいからと全部こちらでやってしまっては、ご要望とは違ってしまいます。下ごしらえと調味料の準備は私たちが行い、調味料を合わせる部分や仕上げの工程はご自身にやっていただきました。その結果、「自分もできた」と実感していただけました。お手伝いする部分とご自身でやっていただける部分をしっかり見極めて一緒に取り組むことが、「できない」が「できる」に変わる大切なポイントだと学んだ経験です。
「寄り添う」とは何か。現場に根付く問いと、チームで目指す自立支援

――樹ならではだと感じる支援のスタイルはどのような点ですか?
樹では「寄り添うとはどういうことか」を常に問い続けているのを感じます。その方が何を必要とされているかをまずお伺いしてからサービスに入るという姿勢が、現場にしっかり根付いているんです。利用者様に向き合う上で大切なことを学ばせていただいていると感じています。
――自立支援のために、チームとして意識していることはありますか?
スタッフ同士の何気ない会話のなかで、利用者様のリアルタイムの状況が自然と共有されるんです。「自分はこういう関わり方をしている」という話をしていると、他のスタッフがどう関わっているかが見えてきます。そこで「自分は少し入り込みすぎたかもしれない」とか「ここはもう少し手伝っても良い場面かもしれない」と気づくことができます。
次にサービスに入るときに介助の度合いを調整することで、その方に合った「ちょうど良いお手伝い」が提供できるようになります。スタッフ間の情報共有が、自立支援の質を高めていると感じています。現在は20代・30代・50代のスタッフ合わせて9名のチームですが、年齢や経験が異なるなかでも、丁寧な情報共有の積み重ねがチームとしての支援の質を底上げしていると思っています。
「なんとかなる」と思える環境が、次の挑戦を後押しする

――50代でのキャリアチェンジを経験された立場から、樹で働くことの魅力をどのように感じていますか?
私のように50代でこの業界にチャレンジしようとする方にとって、入り口は広くても実際に入るとつまずくことも多いです。私が一番苦労したのは体力面と、覚えないといけないことが多すぎるという点でした。若いころと違ってなかなか覚えられず、打ちひしがれることもありました。
しかし樹では、働きづめにならず、しっかりインターバルを取りながら次のサービスに移れる仕事の組み方をしていただいています。また、道具の取り扱いなどの注意事項が画像や動画で共有されており、サービスに入る前に見直して復習できる仕組みがあります。物覚えに不安がある方でも安心して働ける環境が整っているところが、大きな魅力だと感じています。
――今後の目標についても聞かせてください。
個人としては、当面は3年間の経験を積んで介護福祉士の取得を目指しています。また、前職で20年近くPCを使う仕事をしてきたので、介護もできてPCも使える、頼りになる存在を目指したいです。
組織としては、代表が考えている今後の展望を現場からしっかり支えていきたいと考えています。「現場は任せておいてください」と責任を持って言える存在として、現場のブレインのような形でサポートできる人材になることが、今の目標です。
「もっと利用者様に寄り添ったケアをしたい」と思っている方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。体力や経験に自信がなくても、スタッフ同士の支え合いと情報共有の仕組みがあるので「なんとかなりますよ」とお伝えしたいです。